以前、テレビであるタレントが、「漢文なんて勉強して何になるの?
中国語の勉強に役立つわけでもないし。」といった趣旨の発言をしていました。
本当は、中国語の勉強に少しは役立つように思いますが、
この感想は多くの人に共通するものかもしれません。
ただ、他の教科にしても社会に出てからは役立たない、
という印象を持つものの方が多いようです。
例えば、数学で二次方程式、三次方程式、いわんや微分・積分を使う人は多くありません。
それでも、数学を学ぶことは知力の開発に役立つし、
微分・積分まで教える国を「文明国」と呼び、そうでない国を「発展途上国」と呼ぶ、
などと英語学者の渡部昇一さんは、
「英語の早期教育・社内公用語は百害あって一利なし」という本の中で書いています。
数学について、こういった意見はよく聞かれます。
では、漢文学習は「知力の開発」に役立つのでしょうか。
その渡部さんは、明治時代の日本に殖産興業をもたらしたのは、
まさにそれまでの漢学の伝統であった、と述べています。
江戸時代までの日本人が、文字も構造も発音も全く異なる中国語の文献を対象に、
とにかくその内容を精密に読み取ろうと格闘してきたからこそ、
知力が鍛えられ、英語その他の外国語はもちろん、
西洋の進んだ科学技術も容易に習得できたと言います。
では、今でも知力を開発するために漢文の学習に力を入れるべきでしょうか。